洲本市由良にある成ヶ島は貴重な海浜植物や生き物が見られる豊かな場所。
地元の学校の環境学習に長年取り組んできた、成ヶ島を美しくする会の山中さん。
山中さんは、淡路島ちどり隊としても、成ヶ島でのちどりの観察を行っています。
5月23日、小学3年生の環境学習として、山中さんを講師に生き物観察を行いました。
船で島に渡り、午前中いっぱい海とわたむれるという贅沢な授業。
「生き物はどんなところに潜んでいるかな?」
「石の下は生き物たちのおうちだから、観察した後は元にもどしてあげようね」
生き物探しのお約束を伝えた後は、自由に思い思いに干潟の生き物を探し始めました。
カニのオス、メスの見分け方、知っている?
磯の石や貝殻に似せて、変化にとんだ色をしているヒライソガニ
人に捕まると、体を硬直させて死んだふりをするオウギガニ

ミミズハゼやマツバガイ、スガイ、タテジマイソギンチャク…さまざまな生き物が見つかりました。
希少種である、ハクセンシオマネキの観察は、邪魔をしないようにフィールドスコープで行いました。

海藻の実験も行いました。沸かしたお湯にいろんな海藻を入れてみます。
ワカメ、ホンダワラ、ヒジキ、アカモク
「私もワカメを入れてみたい!」
「この海藻は入れてみたらどうなる?」と子どもたちも積極的に参加。
色が変わる様子を不思議そうに観察していました。

子どもたちから出た質問と感想
「成ヶ島にはどんな魚がいる?」
メバル、ガシラ、たこ、イカなど…
近くの由良漁港は多くの魚介類を水揚げしていることで有名なので、
「アサリ掘りはやっているのか?」
兵庫県では貝毒のため、現在は食べたらいけないことになっています。
原因はわからないけれど、今、アサリが減っています。
「海ガメはいるの?」
かつでは海ガメが産卵する浜があった最近は来なくなっています。
「海藻の色はなぜ変わるの?」
海藻類は洋服をきているようなもので、その洋服(色素)が熱で溶けだす。
そうすると元の鮮やかな色になります。
「たくさんの生き物が見れて楽しかった」
「海の中にあった石をひっくり返したら下にエビがいたのが発見だった」
「家でもワカメの実験をしてみたい」
干潟で生き物を観察しているうちに、自然と子どもたちの気持ちがほぐれ、最後には夢中で海に入り、濡れるのも気にせず遊ぶ姿が見られました。海とたわむれ、心と体で自然を感じる時間こそが、子どもたちにとって大切な体験になることでしょう。
30年以上前から、漂流ゴミへの取り組みや環境学習の場づくりを続けてこられた「成ヶ島を美しくする会(成美会)」。こうした自然豊かな場所で贅沢な環境学習を小学校で実施できる――地域にそんな学びの土壌があるのは、成美会のみなさんのたゆまぬ活動のおかげだと感じました。